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【開催報告】8月14日(日)13:00-18:00: 日本の戦争の記憶 -ひと、政治、思想-

2020年より始まった、市民間から対話を通じて平和を作る、東アジア平和大使プロジェクト。


3年目となる2022年度のプロジェクトの第4回目は、WUJメンバーと関係者への声がけをベースに、靖国神社と千鳥ヶ淵への半日のフィールドワークとして実施しました。



今回は「日本の戦争の記憶 -ひと、政治、思想-」をテーマに開催しました。

詳細の報告は企画責任の長川のブログにて、ご参照ください。


■テーマ🎵 

「日本の戦争の記憶 -ひと、政治、思想-」


東アジア平和大使プロジェクトでは、8月15日を、

被害と加害双方の視点からの平和について思い馳せ、

立ち止まって考え、東アジア地域でのより良い未来を築くきっかけとなる日と捉えています。

  • 日本社会の中に残る戦争の記憶に、2つの象徴的な施設、靖国神社と千鳥ヶ淵への訪問を通し、触れる。

  • 双方の場所が戦後果たしてきた役割や、祀られている対象に対して異なる立場を展開する人々の考え方を理解し、日本という国における戦後の記憶とその論争について、自らの立場や役割を考えるきっかけとする。

この2つの目的で開催をします。


■日時🎵 

8月14日(日曜日)

午後13:00-18:00 (JST)


■開催形態 🎵 

オフライン

  • フィールドワーク

■開催言語🎵

日本語


■リソースパーソン(敬称略)🎵

NPO法人Wake Up Japan


==============

当日の構成について

============== 2020年時同様、公開イベントではなく、WUJメンバー及び声がけベースで、 社会人6名、学生4名、計10名の方が集まりました。 また、今年は韓国と中国からの国籍の参加者が参加しました。 今回も特定の事前知識は必要とせず、いかなる思想、政治観の方も歓迎し、 靖国神社や千鳥ヶ淵においても参拝するかしないか、 どこをどう歩くか(ただし遊就館は推奨に)、 誰と歩くか、ということは指定せず行いました。 プログラム構成は以下、すべて日本語で実施しています。 ※一部当日時間調整はあり


13:00-13:55 ワークショップ(私たちの認識) 13:55-14:00 事務連絡 14:00-16:45 靖国神社・遊就館、国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑(自由行動) 16:45-17:55 ワークショップ(私たちの認識) 17:55-18:00 Wrap Up ワークショップにおいて、投げかけた問いは以下です。 <自由行動:事前のワークショップ>

  • あなたにとっての戦争の記憶とは?

  • 戦争と聞いたときに感情は紐づくか?

  • 靖国神社/千鳥ヶ淵と聞いて知っていること、思い浮かぶこと、感じていることは何か?

<自由行動:事後のワークショップ>

  • 靖国神社/千鳥ヶ淵で新しくあなたが知ったこと、感じたことは何か?

============== ワークショップ(対話) ============== それぞれの参加者の回答は以下となります。


<自由行動:事前のワークショップ> あなたにとっての戦争の記憶とは?

  • イラク戦争、幼稚園/小学校時代。戦前に生まれた祖母が経験した戦争、当時中学1年生。勤労奉仕で働いており大阪でB29の空襲を受けた話を聞いたことがおきている。

  • 第二次世界大戦。2000年代生まれ。小さいころから言われてきた、「戦争はいけないよね」の文脈で。

  • 1つはウクライナ戦争、ロシアやウクライナの友人がいる中で、戦争における正義とは何かなと考える。日系3世としてボリビア戦争であれば、チリ側では戦争とは言わない。国や立場によって戦争という立場すら違ってくる。侵略なのか、戦争なのか?それぞれの体験で変わってくる。

  • 悩んでしまった。太平洋戦争経験はしていないが、何かと言われたらそれが一番印象強い。これっていうのは難しい。武田信玄が僕は好き。三方ヶ原というところで徳川家康を打ち破ったことがあり、そういう文脈の話も気になる。

  • ウクライナや、あとは香港、ミャンマー、アフガン、シリア、戦争をどうとらえるかによるが記憶にはある。意識的にみているのは沖縄戦。リアルなところで感じている。父が広島出身で広島の原爆の話は聞いている。感覚的な話でいうと、毎晩戦争の夢を見るという時期が幼少期あって、感覚として焼き付いている。感覚として戦争が怖いというところがその時に形作られたのかとおもっている。

  • 戦争といえば抗日戦争。意外と家族からは聞いたことなく、おじいちゃんも朝鮮戦争にも参加したらしいが、聞いたことはない。ただ日常でふれるところが多かったのは抗日戦争。今でも戦争はいろいろなところで起きている。まだ終わっていないという感覚が自分の中である。

戦争と聞いたときに感情は紐づくか?

  • 割とひもづく。シリアのある少女の戦争体験記を読んでいて、それを参加者に絵本形式で伝えて感じていただくというワークショップをやった。それをやっているとその絵本の中の感情を追体験する。昨日から読んでいたが、恐怖・悲しみがひもづく。

  • 戦争中・戦争後がある。中は怒りとくるしみ。おわったとは独立・自由のイメージが強い。

  • 戦争の感情について。韓国人としては映画とかでは悔しいや痛み。個人的に痛みに共感するのは大事だと思うが、一方でそれをどう国として克服していくか、という客観的なものもある。親の世代は被害意識が強くて、日本だと違和感を感じる。「なんで日本を知りたいの?」と聞かれる。今の世代は旅行や文化とか、日本人に特別な感情をもっていなくて、今の韓国をつくってきたひとたちなので自信をもっている。今みなさんがあげてくれた戦争以外にも、見えない戦争もある。食料や経済。そういう見えない戦争に対してどういう風にとらえていくか、を自信をもって。韓国のスタンスはグローバル人としてのスタンスがあるのかなと。私も細かい戦争の記憶とはなくて、おばあちゃんとかも植民地時代に日本に日本に留学というのがあるので、チャンスとして使っていた。ただ、歴史として大切にするというのは大事だなと。

  • 怒りと悲しみ。

  • 小学生の時はただただ怖さ。それからいろいろな感情を編成していまにいたる。今は、なんでこうなったんだろう、と思っている。なんていえばいいかわからないこと。

  • 戦争に慣れてしまう。地震、コロナ、戦争、起きた瞬間は騒ぐが、時間がたつと慣れてしまうという怖さもあるんじゃないかなと思っている。怖いなと思うが、強い刺激に慣れてしまうんだろうなと思いました。

  • 戦争中、戦後っていう感情があったかと思うが、私は戦争中ときくと、戦後というと虚しさ、悲しみのほうが強い。

  • 朝鮮半島は戦争終わっていない。どの視点かで違う。集団的なものなのか、トラウマなのか。社会学的に感情紐づいていると覚えやすい。

靖国神社/千鳥ヶ淵と聞いて知っていること、思い浮かぶこと、感じていることは何か?

まず、靖国神社については以下となります。

  • 一番最初に思うのは「遺族連合会」。遺族の立場を持ちながら、保守的なものに結び付いていることを考えていると複雑だなと。あとは坂本りょうまが祀られている。最初は戊辰戦争からきて当初問題意識はなかったがその後1980年代くらいから問題になってきた。問題の複雑さを感じる。

  • 政治化。外国人としては祈念するというところは国民としてあたりまえだと思うが、それを政治家が利用して政治化してしまうことがどうかと思う。

  • 永久戦犯。政治家の靖国参拝。中国や韓国の隣国の人たちが、「なぜ参拝するのか?」という問い。色々な目的で来ているとおもっていて、そこへのもやもやがある。

  • 軍人のための施設である、というところ。それが悪いというわけではないが、靖国が慰霊の場所で一番最初にイメージされる場所として、ある。戦争に巻き込まれた人たちというのが限定されてしまうような感じがある。靖国があってもいいんだけれども、千鳥ヶ淵とか、もう少しニュートラルな、戦争に巻き込まれた人みんなについて考えられる、あとは宗教というものから離れたもの、そういうものが心のよりどころにしていったほうがいいのではないかと感じる。外国人に対してもエリアでの日本軍人、軍属を強制的に祀るということも非常に問題だとおもう。死んだら靖国で会おうといって当時死んでいったので、きつい言葉なのでおごっているように感じてしまう。もう少し政治家に対する靖国に対する姿勢についても変わらないと、ここが火種になってしこりの一つの起点になる。対外的にどう見られているのかを冷静に見た方がいいのではないかと、そういうもやもやを考えている。

  • 自分の知っていること、思い浮かぶこととして、そこまで知識はないが、受けている情報としては戦犯を英雄としてまつっていることがどうかなと思っている。それを政治家が問題になるとわかりつつ毎回参拝するのもどうかなと。

千鳥ヶ淵については以下です。

  • 正直聞いたことなかった。

  • あんまり靖国ほど名前でてこなかった。生物多様性の話でちらってきいたような気がした。確か保全のアクションで何かあった。靖国の政治問題を解決するために、千鳥ヶ淵にうつしたら、という話があったような気がした。

  • 知識があるわけではないが、海外の引き取り手のない骨をまつっているところというイメージがある。この間お話をした方が戦争の話をしてくれた。自分の父が戦争でなくなり、海外でなくなり、おそらくこれは父の骨と判断されているが、最悪不明なので、千鳥ヶ淵にまつられていて、悔しい、と感情をいっていた。それはほかのかたももっているのだろうか、きになっている。

<自由行動:事後のワークショップ> 事後のワークショップでは、 靖国神社/千鳥ヶ淵で新しくあなたが知ったこと、感じたことは何か

を聞きました。 以下詳細を記載します。

  • 千鳥ヶ淵にはじめていった。献花をしなかった。なぜ自分が献花をしなかった、というところで気持ちの振り返りができた。これは結構どっちでもいいかなということで、でもどちらの方もいたので、対話が重要なんだなとおもった。理解できる見え方の違い。

  • 千鳥ヶ淵に献花をした。母方のおじいちゃんが広島で死に。家族のことを考えて献花した。米兵の友人が結構いる。軍人に対する忌避意識についてでもわかれるんだろうなと。ナショナリズムと愛国心の違いというところにも関係するなと。今日のもっともな学びは、遊就館で戦争したのしょうがないよね、という雰囲気をかみとったが、最終的に反米意識を植え付けはさせていない。そういうあいまいなところは日本だなと。

  • 遊就館しかいけなかった。中国の参加者と一緒に見れてよかった。僕も考え方が固まっている人だし、日本の人としかこういう話をする機会がなかった。外国の人がどうみるのかなと。センシティブな場所なので。日本と難しい関係の中国の人と一緒にみれたのはよかった。千鳥ヶ淵に何回かいったことがあり、8/23にシベリア抑留者の追悼式がある。個人的に、あるのはいいと思うが、いつもさみしいと思う。大きければいいというものでもないが、千鳥ヶ淵がこじんまりとしていて、舞台装置というところ、感情を呼び起こすというところである程度は大事なんじゃないかと。個人的にはもう少しスペースをとって、戦争の側面をしれるようなものを置くとか、いろんな大変なことがあったので石碑をおいておくとか。ハワイのオアフ島は太平洋軍の墓がある。山の噴火口をつかってお墓になっている。とてもきれい。もう少し全体設計の思想がほしいなとおもったりします。

  • (韓国人の参加者の発言)日本人の方々と久々に靖国にいって、自分の中で意味があった。先日西村経産相大臣が参拝して、奉納している。靖国をどうとらえるかというところを韓国人として。遊就館がどういうナラティブをもっているのか、みなさんがどういう意見をもっているのか、ということでよかった。靖国にくることだけでも、献花することと同じ。意味深い日だった。先ほど舞台装置というような話がでたが、ちゃんと場所をとって、どういう説明をして、見る人がどういう人にとらえるかということが大事だと思っている。前、軍艦島にもいったが、私が感じたのは客観的な情報はたりないなと。すべてがすべてそうではないし、言いたい頃はわかるけど、それ以外の話もしてほしい。ワシントンDCのホロコーストの博物館の印象はすごく残っていて、そういう風に日本も客観的にとらえてほしいなと。一方で、最近徴用工問題があるので、政治家とか専門家も合わせて、早く問題を解決しようという雰囲気だけど、私にとっては「戦争をどうただしていくか」「協力関係をきづいていくか」は別問題だと思う。どちらを優先するべきことでもない。同時並行でいいと思う。処理してしまうのは忘れることと同じなので。私ができることを少しずつ、振り返りとかでもいいので、責任感をもって自分の中で忘れないようにしたいなとおもった

  • 意義深い日だなとおもったのは、様々な意見を持つ人と一緒にこれたことはよかった。違和感を感じることや、賛同できること、その肌感覚にしっかりと立ち返って見学できたのは本当によかった。来年から国家公務員として日本政府として働くことになり、将来ほかの政府と交渉する可能性がでてくる。多様な意見をきいてこその将来の公務だと思っている。声や自分の肌感覚を感じられたこと。

  • 行ってよかったとおもったのは、日本側からみた歴史は初めて見た。歴史教科書は昔読んだことあるが、ここまで立場を鮮明に描いた記述はおもしろかった。この流れでこのストーリーを従うと、最終的にこの人々は国のためにたたかった英霊になるだろうなと、なるほどなと。そこでややこしい、どうかなと思うのは、戦わされて死んだ人たちへの敬意と、戦争を起こした人たちへの責任をごちゃまぜにして、頑張ってくれた人、とくくることの危うさは感じた。もう一つ靖国神社がいっている歴史観、ストーリーやナレティブはどういう人が受けているのか、もあると思っている。まわりをみると普通に遊就館をみると若い人や家族連れとか・・・。背景を知らずして広まっていくこと。歴史教科書がそういう方向にいってしまうと、未来永劫、日中・日韓の歴史理解はないだろうなと。そもそも見えていることがちがうし。私にとっては圧倒的に新鮮な歴史観に危うさを感じた。

  • 最後の安倍さんがいたところで、ショックを受けたが、みなさんとしてはどうおもっている?メディアとしては国葬の意見が反対多いときいたが。

  • 大学院でやっているのはジャーナリズム的なことですが、メディアの扱いとして民主主義への挑戦とかそういう表現はすごくやっているけど、あれって調べれば調べるほど、個人のことで、政治的な文脈で話すことなのかなと思ったり。やっていることが全然違う方向にいった。メディアの責任がすごく大きい。

  • 今週一週間資料館巡りをした。しょうけい館いって、昭和館いった。文京区のわだつみのところもいった。遊就館は圧倒的にちがった。遊就館は私の肌感覚としては加害のほうはでていなかったなと。鉄道のところとか、捕虜などを使って完成させた、というところが後ろの背景がかかれておらず、ひっかかってしまった。(にっしー)

  • 戦争にどういう形で関与したか。「無知は罪である」というところに関連しているのかなと。今のウクライナの戦争とかわかりやすい。加害者と被害者があるようにメディアは放送しているが、その現状をどう記念館や歴史観が中立的な立場で発信するか、というところが難しいなとおもった。そこの中で自分の中でもやもやがあり、答えがないなと。どの国も国益を優先するという立場を考えるのであれば、自国をまもる意見が反映される傾向がある。大切なのは、国民一人一人が多角的にみれるか、教育に影響される。そこらへんからかわっていかないと。(けんまる)

============== 次回について ============== 次回は以下で開催を予定しています。

  • 1月7日~8日:知覧平和学習(関係者招待制、鹿児島県知覧にて開催)

  • 2月19日:知覧平和学習報告会(オンライン開催)

多くの方のご参加をおまちしています。


■東アジア平和大使プロジェクトとは?🎵

東アジア平和大使プロジェクトの概要は以下をご覧ください。

※スケジュールやプログラム内容は若干変更する可能性がございます。

東アジア平和大使プロジェクト


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