【開催報告】8月16日(水)20:00-21:30 : 日本の戦争の記憶 -いま、私たちが話す忘れられた被害者たち-
2020年より始まった、市民間から対話を通じて平和を作る、東アジア平和大使プロジェクト。
当初計画を立てた3年を終え、2023年度のプロジェクトは4年目を迎えます。
3年間を経て、実施したプロジェクト内のイベントや取り組みは29個、約300名の方に様々な形で参画頂きました。
2023年からの3年間は、戦後80年を含む3年間。
東アジアの和解と共生をテーマに、世代や所属を超えた明日への願いの声を集め、市民社会から戦後80年談話を形成することを目標とします。
第二回となる本会は、history for peace設立者であり、初年度にもご登壇頂いた福島さんをお迎えし、日本の戦争の記憶について考え、意見交換を実施しました。
また、希望される方と一緒にスピンオフとし、8月15日午前、九段下付近にて靖国神社・千鳥ヶ淵戦没者墓苑を共に歩く企画も行いました。
※詳細の報告は企画責任の長川のブログにて、ご参照ください。
■テーマ🎵
日本の戦争の記憶 -いま、私たちが話す忘れられた被害者たち-
8月という月に、皆さんはどんな感情を伴うでしょうか。
どんなことを想像し、どこへ足を運びますか。
東アジア平和大使プロジェクトでは、毎年、この月に「日本の戦争の記憶」をテーマにした企画を開催してきました。
日本全体で記憶した戦争は、様々な人を巻き込み、その痛みは現在でも存在します。
今年、戦後78年を迎える中で、history for peaceの福島さんを通して考えるのは日本の空襲被害者、旧植民地(朝鮮・台湾)出身の軍人・軍属の補償問題。
日本国内で戦争の記憶が薄れる中、日本という国における戦後の記憶とその論争について、自らの立場や役割を考えるきっかけにします。
■日時🎵
8月16日(水)
午後20:00-21:30 (JST)
*スピンオフとして希望者は8月15日(火)午前に九段下付近にて靖国神社・千鳥ヶ淵戦没者墓苑を共に歩く企画も実施。
■開催形態 🎵
オンライン開催
*敬称略
東アジア平和大使プロジェクトについて
ゲストトーク(history for peace 福島)
質疑応答
グループディスカッション
■開催言語🎵
日本語
■企画
主催:NPO法人Wake Up Japan
■費用🎵
ギフトエコノミー制度
NPO法人Wake Up Japanでは、おカネのあるなしによって、社会や個々人の人生を豊かにする手法へのアクセスが制限されてしまうことはおかしなことだと考えています。そのために、イベント開催に際して、必要経費以上の参加費は集めていません。一方で、イベント開催にはオンライン通話のための契約など費用も少なからずかかっています。経済的に可能な方はカンパをお願いいたします。また、経済的に余裕がない場合でも、メッセージでの感想の共有は主催者を元気づけますし、将来の「出世払い」の約束なども歓迎です。詳しくはイベント後にお知らせしますので、カンパが可能な方はお知らせください。
■リソースパーソン(敬称略)🎵
福島宏希(ふくしまひろき)
1982年東京生まれ。
「弱い者いじめをなくしたい」。子どもの頃からそんなことを思い、社会的弱者に集中してダメージを与える環境問題に関心を持つ。大学院修了後、環境コンサルティング企業や環境NPO等に勤務。環境省や国連の会議に委員として参加する。究極の非人道的行為である戦争をこの世からなくしたいと思い、2016年より太平洋戦争の歴史を伝えたり、いまだに解決していない戦後補償問題に取り組み始める。ウェブサイト「太平洋戦争とは何だったのか」(http://historyjapan.org/)を運営。若者が戦争の歴史を知り、平和な世の中を構築するために行動するための団体history for peace代表。趣味は釣り、農作業。
Twitter: https://twitter.com/hf_warandpeace
history for peace HP: http://historyforpeace.org/
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開催&当日構成
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当日は運営を合わせ、12名の方々にご参加いただきました。
全体の構成は以下です。
About us
ゲストトーク(福島さん)
質疑応答
参加者の対話(ブレークアウトで実施)
全体共有
まとめ
まず冒頭、いつも通りオンラインでの実施の際は行っているアクションリサーチを行いました。
設問と結果は以下です。
8月15日をどんな日にしたい?
有効回答数:8(回答は任意、複数回答可能)
祈りの日(3)
反省の日(1)
歴史の教訓を胸に刻む日(4)
普通の日(1)
その他(4)
その他を選択した参加者には、チャットで理由を書いてもらいました。その結果
を以下に記載します。
その他:学びの日
その他:対話の日
その他 現在位置を確認する日
先ほどのアンケート、「その他」を選択しました。実際に降伏文書に調印した9月2日を終戦日として、8月14日~16日を「戦争を考える日」にするのが良いんじゃないかなと思います。14日は
ポツダム宣言を受け入れた日、15日は玉音放送が流された日、16日は停船命令が出た日ですね。
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トーク&対話
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今回は対話に多くの時間を、という要望をもらっていたため、
福島さんのトークは冒頭少し短めに、
その後質疑応答と、問いを設定した上で参加者のブレークアウトでの対話の時間を設けました。
まず、福島さんのお話から抜粋します。
<ゲストトーク>
元々環境問題に取り組んでいた。6~7年前から現在の活動をはじめた。
太平洋戦争は気づきと教訓の宝庫:なぜ戦争起きたの?なぜ日本は戦争に負けたの?日本はアジア諸国に何をしたのか?戦争は市民をどのような目にあわせるのか?
History for peace運営は4名体制:これをずっとやる、というのはなく、メンバーの興味関心ベースで実施している
今日話したい事:戦争はまだおわっていない。戦後補償
⇒現在進行形のことはないと思っていた。教科書で記載されているような過去の事だと思っていた。現在も当時からの救済を河合節子さん(日本本土空襲)、イ・ハンネさん(外国人元BC級戦犯)もとめている方がいる。
空襲被害者
⇒日本全土がまるやけに。50万人以上が犠牲になった本土空襲。
⇒「勝手に生きろ。勝手に死ね。」:国に捨てられた戦争孤児。行政は山の中にトラックで運ばれ捨てられた虎児もいた。社会全体で貧しかったため、自分たちでどうにかしなければいけなかった。
安野さん
⇒欧州では官民同様に救済がされているのに、なぜ日本の空襲被害者は救済がないのか。そして戦争を二度としない。それを約束してください。私の生きてきた意味です。
外国人元BC級戦犯
⇒イ・ハンネさん:当時は日本人。捕虜虐待の罪に問われ収容された。巣鴨プリズンから出た際は韓国人。日本政府は植民地出身軍人・軍属に対しては「国籍条項」を盾に補償を行ってこなかった。
⇒裁判を起こしたが敗訴。日韓議員連盟でこの問題を進めるよう支援団体が働きかけを行っているが、見通しはたっていない。
過去の問題なのだろうか?
⇒通り過ぎた昔の話でしょ、って言えるものなのか。
⇒お金の問題ではなく、人権の問題。補償を求める時期は過ぎた。政府からの謝罪を被害者が求めている。官と民の差別構造(政治力のない集団は補償を受けられない)。日本人と日本人以外の都合のよい使い分け。「戦争なんだから我慢しろ」という責任と向き合わない。戦争被害受忍論
今に引き継がれる民間人無視。有事法制:国と雇用関係にある人の被害は補償する。国と関係のない民間人は戦争被害にあっても保証しない。
これは若者の問題ではないか?:こういう国でいいの?次に戦争が起きても、あなたの手足がなくなったり、家が破壊されても国から補償は出ない。
<質疑応答>
福島さんへの質疑応答では、以下の質問が出ました。回答と一緒に記載します。
私は中国出身。日本の歴史認識に興味がある。戦争責任と向き合うことは難しく、解決できない。政府自身はそのまま放置したまま、当事者については亡くなってしまう。そういう姿勢があると思っている。日本で実際に解決に向けて動いていることはあるのでしょうか。
回答:世論があまりにもひどいでしょ、ということを盛り上がって伝えられることが出来ると政治も変わっていく。空襲やBC級戦犯の話も解決の可能性はないとは思いますが、政治の難しさはありそう。
沖縄出身です。活動されている中で、また絶対に戦争をおこしてはいけないと思うんですが、今本当にどうしたらいいのか、福島さんが考えている、平和であるためにどうしたらいいのか。
回答:それに対する答えは今ない。ただ、軍備を増やすことは答えになるのかなということは正直疑問。日本の動きは逆行していると思う。起きてしまった場合に抵抗しないとしょうがないよねという話になっていると思っている。外交や、東アジア平和大使PJのような対話の積み重ねの部分を、ちゃんと協力に推し進めるということが大事だと思っている。気持ちレベルで大事だよね、ということだけではなく、国が予算を付けてやる。戦争を起こさないためにどういう世界がつくれるのかなと
国=会社という捉え方をすると、現在の姿勢は妥当かもしれませんが、国は会社ではないのでは?と思いました。(チャットにて参加者が問いかけ)
<設定した問い>(ブレークアウトセッション)
質疑応答後、参加者をグループに分けて以下の問いで対話を実施してもらいました。
紹介した問題について、今から対象者に対して補償をすべきだと思いますか?(例:空襲被害者に対しては、想定で25億円ほどと見積もられている)
紹介した問題についてどのように感じたか
若い世代へこの問題の共感の輪を広げるにはどうしたらよいか
その他感じたこと、思ったこと
<参加者対話の共有>
対話後は参加者に全体で共有をお願いし、その場でスピーカーも含めて共有されたことは以下となります。
こういう問題に対してどう向き合っていったらいいかという話をしたりこの話をひろげていくことと、自分たちで解決していく方向性の2つがあるという話をした。世界中の人と交流していくっていうのが、自分たちはできるんじゃないかなと。いい方法だと思った。僕は大学とか大学院の時に留学生と交流が合ったのですが、色々な国の人と交流するとそれだけで視野広がるし、中国人留学生の人たちと話す機会あると、中国と戦争するとこの人たちと敵対関係になるんだという意識がかなりの抑止力になる。留学生との交流は国の中でもできる。
この問題の難しさというのは本当に根深いな、というのが一つと、次補償をもとめるべきか否か、ということに関して、そもそもお金で保証できるのかという観点で、それって勘違いしていませんかと。その上で未来志向ということと、あとは買ったからただしい、まけたから正しくないではなく、平和というものを考えていきたいというものが出た。この手の話になった時には、南進の系譜という古典があるからよむといいよという話とか。
結局、最終的には、一人一人。国と国の話になると、個人の顔が消えて、国旗みたいなものになっちゃう。でもそんなことはなくて、一人一人の人しかいないはず。国というラベルはっているだけで、国の集合体のはず。結局人間。そこには人間しかいない。人間と人間としてどういう付き合いをつづけていくか。国内だって、身の回りだって、外国の人だっていっぱいいるじゃないですかと。一人一人の単純な気持ちからでてくることを大事にする。それを素直に表現していくことの積み重ね。やっぱり大きな国の政策とかが行こうとかになると、手の届かない感じになると遠くなる。国会議員も私達が選んでる。その行動を変えることも一人一人ができるはず。
払うか払わないかということに、姿勢が出る。補償を求めているということは、金額ではないといいつつも、お金をだすということは国が仮に国民から集めた税金で特定の人たちに対して説明責任が国としてある。国として重大な何かを認めたから払うということになる。お金を出すか出さないかというのは、お金を出すか出さないかはついてまわる非常に大きな問題になってくる。
今からお金を払うということはやめてほしい、と意見をもらうこともある。お金を出すということは姿勢を出す意味でも大事だと思いつつも、それが大きなハードルになって、社会の構成員たちも、重大だと思っても78年前の話だしみなさん生きているんだから今の目の前の問題に使いましょうという意見がハードルになっている。僕も明確に答えはでていないんだけど。
「払ったんだから手打ちにしろ」問題。シンガポール華僑粛清事件(とその後の再開発)あたりとも関連しうる話題提供。
また、今回はプロジェクトのメンバーの小島さんがオンラインで簡単なグラフィックレコーディングを実施していました。その画像を掲載します。
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補足リソース
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福島さんから事後に共有頂いた補足リソースは以下となります。
◆体験者の動画